- country: アメリカ合衆国 – 都市 New Canaan – address:
閉館日:5月1日~11月30日、火・水曜休館
The Glass Houseは、コネチカット州ニューケーナンにある建築・美術博物館で、アメリカの著名な建築家フィリップ・ジョンソン(1903-2005)が所有・設計した建物群の中にあります。
建物と敷地
美術館は、ナショナルトラストの史跡に指定されている49エーカーの敷地内にあり、ジョンソンが18世紀のヨーロッパの庭園を意識して設計したという、美しい池や小川、小山、森などの景観に囲まれています。
ガラスの家の敷地内にある「Studio」(手前)と「Da Monsta」(奥)の建物の様子。 photo by Paul Warchol
Photo by Steve Brosnahan
敷地内の建物には、すでに紹介した「ガラスの家」があります。 同じく1949年に完成した「ブリック・ハウス」、「池の中のパビリオン」(1962年)、「ペインティング・ギャラリー」(1965年)、「スカルプチャー・ギャラリー」(1970年)、「スタジオ」(1980年)、フランク・ステラの彫刻・建築作品にインスパイアされた黒と赤の建物「ダ・モンスタ」(1995年)など、いずれもジョンソンが設計したものです。
「ガラスの家」
1945年に設計され、その4年後に竣工した「ガラスの家」は、「周囲の風景を眺めるため」に考えられたパビリオン状の建物で、竣工から2005年に建築家が亡くなるまでの約45年間、ジョンソン自身の住居として使用されました。
The Glass House, view from east, photo by Stacy Bass
内部には隔壁がなく、バスルームだけが密閉された空間となっていますが、各機能エリアはジョンソン氏によって正確に特定され、ラグや家具によって定義されています。
「ガラスの家」の場合は、スタイルのアプローチがはっきりしています。 ミース・ファン・デル・ローエと私は、ガラスの家をどうやって作るかについて話し合い、それぞれが1つずつ作ったのです。 ミースのものはもちろん一次的なもので、私のものは師匠のものを採用したものですが、アプローチはまったく違います」。 (Philip Johnson, 1991)
The Glass House, フロアプランとセクション、アレッサンドロ・ビアンキとジャンカルロ・カマーニによる図面、ミラノ工科大学
The Glass House,
この家は、大きな建物でも、堂々とした建物でもありません。総面積1,815平方フィート(168平方メートル)は、少なくともアメリカの基準からすれば、むしろ小さなものです。それにもかかわらず、いわゆるインターナショナル・スタイルの傑作の一つとして広く認められています。
「この建物は、国際様式の傑作の一つとして広く知られていますが、建築物と風景との厳格な関係は、いかにもアメリカ的です。
「ガラスの家は、そこにあった土地から始まりました。 中略)すべては風景そのものが条件となりました。 あの小さな小山を見つけたとき、私は真冬の森の中にいて、ほとんど見つけることができませんでした。 私は素晴らしいオークの木を見つけ、そのオークの木と小山にデザイン全体を掛けましたが、それはこの場所のおかげです。 忘れてはならないのは、ここは建築作品というよりも、ランドスケープパークだということです。 この丘とオークの木にデザインを集中させた、一種のランドスケープです。 そして、その丘からの眺めと後ろの眺めが、私が全体を把握する方法だったのです」。 (フィリップ・ジョンソン)
Glass House、東側からの眺め。 photo by Robin Hill
ミース・ファン・デル・ローエ(1929)の「バルセロナ」シリーズの家具が置かれた、西から見たインテリア。 photo by Eirik Johnson
ガラスの家、北東からの眺め photo by Eirik Johnson
この家はどちらかというとスパルタンなので、バスルーム、ゲストルーム、テクニカル・スペースなど一連の補助的な空間は、近くのブリック・ハウスに配置されています。
フィリップ・ジョンソンによるブリックハウス。 photo by Julius Shulman
「ブリックハウス」の部屋のひとつ。 photo by Julius Shulman
ガラスの家(青)とレンガの家(黄)のあるサイトプラン(図面:Alessandro Bianchi and Giancarlo Camagni,
アートコレクション
「ガラスの家」は、フィリップ・ジョンソンの作品を展示する建築物であると同時に、絵画や彫刻の常設コレクションを展示する美術館でもあります。
ほとんどの作品は、ジョンソン自身が、生涯のパートナーである著名なアートキュレーター、デビッド・ホイットニー(1939-2005)とともに収集したものです。
絵画のコレクションは、半日陰の建物であるペインティング・ギャラリーに収められており、フランク・ステラ、アンディ・ウォーホル、ロバート・ラウシェンバーグ、デビッド・サール、シンディ・シャーマン、マイケル・ハイザー、ジュリアン・シュナーベルなどの作品があります。
ペインティング・ギャラリーの半地下の建物の入り口 photo by Paul Warchol
ペインティング・ギャラリーの内観です。 photo by Julius Shulman
ギリシャの村の質素な建築物をイメージした建物「彫刻ギャラリー」にある彫刻コレクションは、マイケル・ハイザー、ロバート・ラウシェンバーグ、ジョージ・シーガル、ジョン・チェンバレン、フランク・ステラ、ブルース・ナウマン、ロバート・モリス、アンドリュー・ロードなどの作品で構成されています。
Sculpture Gallery, exterior, photo by Paul Warchol
Sculpture Gallery, interior, photo by Robin Hill
常設展示のほかに、グラスハウスでは、アートや建築の臨時展示やサイトスペシフィックなインスタレーション、ライブパフォーマンス、特別イベントなどが行われています。
「Da Monsta」、1995年にフィリップ・ジョンソンが設計。 photo by Julius Shulman
Philip Jonson’s Studio (1980), photo by Paul Warchol
表紙のイメージ。 The Glass House, view from south-west, photo by Robin Hill
All photos courtesy of The Glass House, New Canaan