新しい脳細胞は成長しないという言い伝えは真実ではありません。
この発見は、成体の脳細胞(ニューロン)はほとんど固定されており、新しい経験に応じてその構造を変えることができないという従来の考え方に疑問を投げかけています。
成体のマウスを使って行われた研究では、一部のニューロンにある「樹状突起」と呼ばれる枝状の突起が、物理的にまだ変化可能であることがわかりました。 樹状突起は、他のニューロンから受け取った電気信号を親ニューロンの細胞体に伝える役割を果たします。
成長期
ニューロンの基準からすると、劇的な変化を遂げたものもあります。
研究の共同執筆者であるマサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学者Elly Nedivi氏は、「変化の規模は、発達の重要な時期に行われるものよりはるかに小さいですが、それが全く行われていないという事実は、地球を揺るがすものです」と述べています。
人間は生まれて間もない頃、1分間に25万個の神経細胞を作り、その後数年間かけてそれらをつなぎ合わせていきます。
神経科学者は何十年も前から、成体の神経細胞が新しい経験に直面したときに発火パターンや反応を変えることができることを知っていましたが、その構造を変えることができるかどうかは未解決のままでした。
間違った場所を見る
ニューロンは、シナプスと呼ばれる2つのニューロンの間の小さな隙間で、電気信号または化学信号をやりとりすることで、お互いにコミュニケーションをとっています。
成人の神経細胞の成長を調べた他の研究では、主に興奮性の錐体細胞に注目していましたが、MITの研究では他の種類の神経細胞も調べました。
その結果、錐体細胞には構造的な変化が見られなかったのに対し、抑制性の神経細胞である「介在細胞」には構造的な変化が見られたことがわかりました。
研究者たちは、大人の脳の神経可塑性には介在ニューロンが大きく関わっているのではないかと推測しました。
「大規模な変化を起こす能力があるのは、抑制性ネットワークかもしれません」とネディヴィは述べています。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のウェイチョン・アレン・リー(Wei-Chung Allen Lee)氏が主導した本研究は、パブリック・ライブラリー・オブ・サイエンス(PLOS)バイオロジー誌の12月27日号に掲載されました。
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